2009年1月12日月曜日

シナジスを受けないという選択

これもネットで調べていた中で見つけた記事なのですが、
極低出生体重児で生まれた自分の子供にシナジスを受けさせない、
という選択をした、という記事。


その理由として遺伝子組み換え技術による薬であること、
シナジスの効果がRSウイルスに罹患した際の重症化を防ぐ程度だ、


ということを上げられています。


そして、シナジスを受けないかわりに、外出を極力控え、
RSウイルスに対する感染のリスクを回避した、とありました。


気になったのは、シナジスのRSウイルス感染時の重症化を防ぐ程度だ、
という「程度だ」の部分です。RSウイルス感染症の症状を軽視している
発言になりますが、これは少し危険なのではないかと思いました。


RSウイルス感染は乳児の中では入院の最大の原因であるとも
言われています。また、早産児などでは重篤な細気管支炎や肺炎を
呈することもあり、中には人工呼吸管理が必要な症例もあるそうです。
そのような重篤な感染症であれば、重症化を防ぐだけでも十分な
有効性だと思うのですが・・・


しかも、その記事を書かれていたのは医療関係者の方のようでした。
シナジスのみならず、RSウイルス感染症自体の認識ももしかしたら
一致していない可能性もあるのかな、と推察してしまう記事でした。

シナジスをネットで調べてみた

シナジスについて記事をネットで検索してみましたが、
やはり自分と同じような経験をされている方も
多いようですね。


私の娘は在胎34週、1900gで出生しており、
シナジス投与の適応なのですが、
病院の先生からはシナジスの話は一切出ずに
退院となりました。


後からRSウイルス感染症のことを友人から聞き、
調べてわかったのですが、医者には説明義務が
あったのではないか?と思うのです。


ネット上の記事を見ると、入院していた病院では
シナジス投与が必要だと言われたが、紹介先の
病院では、そこの病院の医師の判断で
「必要ないでしょう」と言われて結局シナジス投与は
しなかった、という内容の記事がありました。
このケースはおそらく紹介先の医師による勝手な
自己判断であったと思われます。明らかに適応で
あるのにシナジス投与が行われないケースは
多いようですし、そもそも医師のシナジスに対する
認識が一致していないような気がします。


私の娘が入院していた病院は、県の総合周産期
センターに認定されている病院でした。そこの
NICUの医者でもシナジス投与のことを説明
しないなんて、ちょっとどうなのかな・・・と
今は思います。

シナジスは誰でも受けられるわけじゃない

シナジス注射は適応が限られています。


シナジス注射は在胎35週以下の赤ちゃん、
先天性心疾患や慢性肺疾患をもつ赤ちゃんに行われます。
それ以外の赤ちゃんでもシナジスを受けることは可能ですが、
費用は自費となります。つまり、保険適応ではなくなるのです。


その場合、3kgの赤ちゃんで一回8万弱、
       7kgの赤ちゃんで一回16万弱、
      10kgの赤ちゃんで一回24万弱、


のお金がかかります。


シナジスはRSウイルスが流行している間(10月~4月ごろ)は
毎月注射しなければなりませんので、上記の金額が毎月かかる
こととなります。


毎月10万~20万のお金をポンと払える人なんて、
そうはいないと思います・・・


ですので、現実的には、冒頭に述べたシナジス投与が
保険適応となる赤ちゃんのみがシナジス投与を受けています。


しかし、シナジス投与を在胎35週以下で区切っているものの、
在胎35週の赤ちゃんも、在胎36週の赤ちゃんも、定義的には
同じ「早産児」です。そこで区切る意味は何なのだろうという
疑問があります。


実際、入院するのは、これらシナジス投与が適応となっていない
週数の赤ちゃんに多い、という話も聞いたことがあります。


調べれば調べるほど、シナジスについては不可解な点が多い
というのが正直な感想です。

シナジスの薬価は非現実的です。

シナジスの薬価がいくらか知っていますか?


だいたいの金額ですが、最小の50mgで約8万円です。
シナジスは体重が増えれば、注射しなければならない量も増えます。
しかも、RSウイルスが流行する期間は毎月投与が必要です。
さらに50mgというのは生まれたばかりの新生児、体重3kgちょっとの
赤ちゃんに使う量です。


ということは、体重がもしも6kgとかになったら
(生後3ヶ月もすれば体重は6kgぐらいになりますよね)
かかる費用は倍近くなり約15~16万。
(実際には3kg越えて、投与量が50mgで足りなくなったら、
100mgの製剤を使うことになるので3.5kgぐらいになったら
もう倍の金額がかかります・・・)


さらに体重が10kg近くともなると、一回の注射で20万以上の
費用がかかります。


シナジス投与が保険適応になる赤ちゃんでも、
一回に1万5千円~5万ほどの金額がかかるんですよ?!
しかも毎月!!
これにはちょっと閉口でした・・・


乳幼児医療費支給制度
(各市町村で対応が異なる様です。以下は私が住む市の話です。)
というものがあり、
子供0人の場合、親の年収が532万以下の場合は、
この制度の対象となり、医療費は後に返還されます。
つまり、シナジス投与で負担した2割分も、
後から返還されるのです。


しかし、私の場合、年収が532万より少し多いため、
この制度の対象とはなりません。
となると、シナジス投与を娘に受けさせる場合は、
なんと毎月3万~5万あるいはそれ以上の金額を負担しなければならないのです!


こんなのおかしいと思います。
年収が少し多かったがために、この制度の対象とならず、
毎月数万円もの負担を強いられるなんて・・・


年収が600万あっても、
毎月の手取りは30万チョットです。
そこから仮に毎月5万もの出費が出てしまっては、
正直生活が困窮します。


この事実を知ったとき、猛烈に紛糾しました。
全く納得がいきませんでした。
シナジスが有効であることがわかっていても、
これでは受けさせてあげられない両親だって
いるのではないでしょうか?


まして、これが双子だったりしたら??


どうしてこのような価格設定のまま放置されているのか
理解に苦しみます。

シナジスを知ってますか?

シナジスRSウイルス感染症の重症化を防ぐ注射薬です。


RSウイルス感染症は、主に乳児に重篤な細気管支炎や肺炎を
起こすウイルス感染症です。早産児などでは重症化することが
知られており、これらの赤ちゃんに対してはシナジス注射を
行なうことが推奨されています。


しかし、シナジス投与にはいくつか問題点が存在します。


私の娘は在胎34週、体重1900gの早産児・低出生体重児でした。
県立病院で生まれ、ちゃんとしたNICUで管理してもらったのですが、
退院の際、このシナジスのお話は一度も出てきませんでした。


後から分かったのですが、うちの娘も、このシナジス注射の適応で
あったのです。ですから、医師から何らかの説明がされるべきだった、
と今は思っています。


このように、まず第一にシナジス注射そのもののに対する理解が
恐らく医師間でも一定しない現状があると思われるのです。


幸い、うちの娘はこのRSウイルス感染症による重篤な細気管支炎や
肺炎は経験していませんが、一つ気がかりな点があります。


それは、うちの娘が風邪をひくたびに咳が頻回に出て、
また胸のあたりがゼエゼエする、つまり喘息のような症状を呈することが
多いということです。


これも後から知ったことなのですが、RSウイルス感染した児は、
喘息発症のリスクが高まる可能性がある、ということが報告されている
ようなのです。まだ、詳細は分かっておわず、確定的なことはいえませんが、
うちの娘だって重篤な症状こそ出なかったかもしれないが、RSウイルス
罹患していた可能性はあるのではないか?だとすれば、シナジス投与を
受けていれば、もしかしたら、今の喘息のような症状を呈することも
なかったのではないか?と思ってしまいます。


この県立病院のNICUの医師達は誰もシナジス投与の適応であることに
気付かなかったのでしょうか?そのようなレベルの医師しかいない病院であれば、
いまひとつ病院側を信頼できなくなります。


実際、その病院の新生児の成績は全国でも最下位クラスのようですし・・・


他にもシナジスの問題点はありますが、それはまた別のアーカイブで
書かせていただきます。